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概 要 General |
従来は、CFカードなどに記録された10Hz生データを回収後、PCなどで各種処理をすることにより、CO2/顕熱/潜熱などのフラックスを求めていました。この方法では、ある程度フラックスに知識や経験のある研究者でないと、一般的に必要と考えられている補正方法の適用が難しく、値を求めることが困難でした。 この度、データロガー上でそれらの処理を自動的に行ってしまうプログラムが公開されたので、データ処理の経験がなくても、計測しながら一般的な補正が適用されたCO2/顕熱/潜熱などのフラックスの値を利用することができるようになりました。 フラックスの結果の利用が必要とされる産業利用、フラックスの専門家以外の方の利用、海外における利用などが考えられます。 |
特 徴 | 渦相関法は、大気中の風速、温度、ガス濃度の乱流変動に基づいて、生態系スケールの運動量、熱、水蒸気、CO2等のフラックスを測定する方法で、自然条件下で安定的な連続観測が可能なことから、森林や海洋上も含めた国内・国外の各種生態系で広く用いられています。農耕地では、群落レベルでの作物の光合成、蒸発散の動的特性、さらに圃場レベルでの炭素収支を把握するために活用されています。しかしながら、乱流計測データからフラックスを算出するための計算処理は極めて煩雑で、従来は、サイトに設置したデータロガーでは乱流データの計測と記録のみを行い、フラックスの算出は別途PC上で自作プログラムなどを用いて行う必要がありました。 本プログラムは、乱流計測データの収集および各種計算をデータロガー上で一体的に行い初期解析に十分な精度で生態系のCO2・H2Oフラックスを迅速に提供することを目的として開発され、従来のデータロガープログラムあるいはオフライン処理と比較して、次のような特徴があります。 1) 2で示す標準的な測器を用いた場合、測定高度等の基本的な情報を入力するだけでフラックス計測が可能です。 2) 観測サイトでフラックスの値を確認できるため、測器の動作状況をその場でチェックできます。 3) 標準的な処理・補正が適用されており、出力されたフラックスデータは解析に直接用いることができます。なお、並行して生データも記録されるため、従来のようにオフラインでの処理も可能です。 4) 通信を用いて遠隔からモニターする際は、算出されたフラックスのみを転送することで、通信にかかる時間と費用を抑制できます。 5) プログラムが構造化されているため、本プログラムがサポートしていない測器を用いる場合でも、プログラムの修正は最小限に抑えられます。 本プログラムを用いることで隣接分野の研究者も手軽にフラックス計測ができるようになり、群落微気象のみならず植物生理、水・養分動態に関する研究のさらなる進展が期待できるほか、蒸発散モニタリングに基づいたリアルタイムでの灌水制御等への応用も可能となります。 |
処理の手順 | 生データの計測 機器間遅れ補正 各種統計量の計算(平均、標準偏差、共分散など) データの品質チェック(CO2変動計とSATのエラー情報より) 大気の物理量の計算(気温、水蒸気、大気密度など) McMillenによる、座標変換(ダブルローテーション) Uy_mean=0 Uz_mean=0になるように回転 Massmanによる、周波数応答補正 Schoanusらによる、顕熱フラックスの水蒸気補正、WebbによるCO2フラックスの密度変動補正 |
必要機器 | 超音波風速計:キャンベル社製 CSAT3を推奨しますが、他機種でも対応可能 CO2・H2O分析計:Li-cor社製 LI-7500Aを推奨しますが、他機種でも対応可能 データロガー:キャンベル社製 C-CR1000/CR3000 同上用CFカードアダプター 対応情報 C-IRGASONに対応しました 上記以外はオプションになります。 |
動作環境 | Campbell Scientific社が開発したCRBasicで記述されており、CRBasicで制御できる同社のデータロガー(CR1000、CR3000)上で作動します。乱流生データを記録するために、データロガーにはコンパクトフラッシュカード(CFカード)モジュールを装着しておく必要があります。測器は、現時点での最も標準的な構成、すなわち、同社の超音波風速計(CSAT3)、および米LI-COR社のオープンパス型CO2・H2O分析計(LI-7500)をサポートしています。 |
クリマテックでのカスタマイズ | クリマテックは、このプログラムの利用契約を締結していますので、お客様のシステムにカスタマイズして本プログラムを動作試験後、ご提供いたします。 |
利用料 | 契約により、利用料金が発生します。 |
プログラムの利用条件 | 利用にあたり、当社と二次利用契約を結んで頂きます。 成果物に、当プログラム利用の表示が必要です。 このプラグラムを配布・公開することはできません。 改変は個人利用に限ります。 結果について、十分検証はしていますが、利用は各自の責任で行って下さい。 |
設定パラメーター (数値は例) |
a.観測高度: 4.0 m (地面からの高さ) b.地面修正量: 0.0 m (一般的には、植生高の0.7倍程度) c.センサー間の距離: 20 cm (CSAT3とLI-7500の測定パスの中心点の間の距離) d.CSAT3の方位角: 270° (北向きが0°:270°は西向き) e.LI-7500の方角: 90° (CSAT3の方位角を0°として、CSAT3から見たLI-7500の方角: 90°は、西向きのCSAT3の真北にLI-7500があることを意味する) |
デフォルトパラメーター | サンプリング間隔 10Hz(0.1秒毎) CSAT3のSDMアドレス 3 LI-7500 のSDMアドレス 7 |
保存データ | CFカード保存日数:35日/1GB 本体計算値保存日数:約60日間 |
関連論文 | Massman WJ (2000) A simple method for estimating frequency response corrections for eddy covariance systems. Agricultural and Forest Meteorology, 104, 185-198. Massman WJ (2001) Reply to comment by Rannik on "A simple method for estimating frequency response corrections for eddy covariance systems". Agricultural and Forest Meteorology, 107, 247-251. McMillen RT (1988) An eddy correlation technique with extended applicability to non-simple terrain. Boundary-Layer Meteorology, 43, 231-245. Schotanus P, Nieuwstadt FTM., De Bruin HAR (1983) Temperature measurement with a sonic anemometer and its application to heat and moisture fluxes. Boundary-Layer Meteorology, 26, 81-93. Webb EK, Pearman GI, Leuning R (1980) Correction of flux measurements for density effects due to heat and water vapour transfer. Quarterly Journal of the Royal Meteorological Society, 106, 85-100. |